僕にはまだ、足が必要なんだって①【骨肉腫の手術を受けた僕に起きた奇跡とは】
僕にはまだ、足が必要なんだって 僕は10歳の夏の日、小児がんになったんだ。 スポーツ少年団に入団後、ソフトボールとバレーボールの両方を一生懸命頑張った。 元々、スポーツが苦手だった僕が、スポーツにのめり込み始めた頃の出来事だった。 右足の付け根に違和感を感じたが、そのままスポーツを続けた。 僕の右足は、徐々に痛みが増していき、下腹部が異常に腫れてきた。 両親に身体の異常を相談し、翌週、大きな病院で診察した。 僕の身体は癌(ガン)におかされていた。 命が助かるかどうかのギリギリの状態にまで、癌(ガン)が進行していたのだ。 主治医の先生からは、「真実を受け止めて欲しい。そして、癌と闘う力を引き出して欲しい。」との想いから、癌を発症していること、右足の切断の可能性、そして、手術を断念した場合の余命宣告までも、僕に対し直接に告知された。 僕は、命をかけた手術に望んだ。 この手術が終わり、手術室から出てきた時には、僕の運命が決まっている。 僕の運命のすべては主治医の先生に託した。 手術室から出てきたのは、約10時間を過ぎていたという。 わずか10歳の僕の身体は、癌(ガン)の転移箇所も含め、複数箇所を同時に手術することになったからだ。 病室で意識がはっきりしてきたのは、翌日の昼過ぎだった。 僕は、右足切断宣告のことを忘れていた。
両親や看護婦さんからの声かけに、目が覚め、少しずつ目を開けた。 僕の耳元でみんなが一気に声をかけてくれていたが、僕はその言葉の一つ一つを聞き取ることができなかった。 しばらくすると、そのみんなの声の中に母親の声を見つけた。 「残ったよ」「まーちゃん、先生が残してくれたよ」「右足残ったよ」 僕はその声と、その言葉の意味に、「はっ」とした。 「あっ、そっか。そっか。助かったんだ。」と、心のなかで何度も唱えた。 安心したからか、僕はまた、深い眠りについた。 僕の腹部には大きな手術跡が刻まれている。 しかし、それ以上に、心にも大きな傷を刻んだ。 その傷に刻まれた心の記憶を今、ブログに残している。